前回、賃貸併用住宅について街中でよく見かける形式であること、成立させるために必要な条件について説明してきました。今回は実際に私が賃貸併用住宅に出来る住宅を見つけるまでの流れを一例として紹介していきます。
1.たまたま出会った「お宝」を引き寄せた準備
実を言うと、私も最初から「何が何でも賃貸併用住宅にしよう」と意気込んでいたわけではありません。当初は「1子が生まれたことを機に、いつか転居できれば」と、無理のない範囲で物件探しを始めたのがきっかけでした。
当時、家を買うにあたって私が最も強く意識していたのが「災害リスク」です。日本は特に地震が多いため、地震の影響を受けにくい頑丈な家がいいと考えていました。その中で災害に強い「百年住宅」というメーカーを知り、創業者が書かれた『日本を守る家』という本を手に取る機会があったのです。
本の前半は建物の構造や強さの話がメインなのですが、最後の方に「自宅の一部を賃貸併用にして運用している事例」が紹介されており、これが妙に頭の片隅に残り続けていました。(賃貸世帯数=馬力の概念もこの本からです)
「中古住宅をリフォームして固定費を下げる」というルートで条件に合う新着中古物件を気長に、かつ継続的にチェックする日々を過ごしました。
そしてある日、たまたま目に飛び込んできたのが、後に購入することになる「完全分離型」の物件だったのです。
2.サイトの情報は不完全?私が現場で見つけたお宝物件の正体
不動産ポータルサイトを毎日眺めていると、完璧な写真と詳細なスペックが並んだ「優等生」のような物件に目を奪われがちです。しかし、賃貸併用住宅という特殊な戦略において、本当のお宝は「情報の足りない、不親切な募集ページ」の裏側に隠れています。
私が実際に購入した物件も、最初は全く期待させるようなものではありませんでした。
載っていたのは平面図だけ
紹介サイトに掲載されていたのは、簡易的な1階と2階の平面図のみ。部屋の畳数と、別表に総面積がポツンと書かれているだけ。外観写真はありましたが一般的な内観写真は1枚もありませんでした。
多くのライバルは、この「情報のなさ」を見た瞬間に、検討リストから外したはずです。しかし、私はこの特殊な平面図がどうしても引っ掛かりを感じたため内見を申込、現地へ向かいました。

平面図をしっかりみると、1F・2Fにキッチン、風呂、トイレがあり、二世帯住宅かなと推測するヒントはありました。
内見での違和感と、勝利の確信
現地に到着して外観を見た瞬間、確信に変わりました。そこには図面からは読み取れなかった、立派な「外階段」が独立して存在していたのです。
中に入るとさらに驚きがありました。1階と2階を繋ぐはずの「内階段」がどこにも見当たらないのです。本来階段があるべき場所は、1階では「納戸」に、2階では玄関横の「大容量収納」へと姿を変えていました。
「これは、上下完全分離の二世帯住宅、見方を少し変えれば半分を賃貸に出せるかもしれない」
サイトの情報と現地のリアル。このギャップを目の当たりにした瞬間、私は購入の意思を固めました。
購入希望後に判明した事実
購入希望を出し、詳細な図面を取り寄せたところで、さらなる衝撃の事実が判明します。なんと、正式な図面には存在しないはずの「内階段」が堂々と記載されていたのです。
元オーナーに事情を聞くと、その経緯は極めて戦略的なものでした。
「建築許可を取得する段階では、あえて内階段ありで通した。その後に変更を行い、内階段を撤去して収納に変え、完全分離にした」
つまり、法的な枠組み(建築確認)をクリアした上で、実生活でのプライバシーと利便性を最大化するために、意図的に変更された物件だったのです。
図面より「現物のポテンシャル」を信じる
この体験から得られる教訓は一つです。「ネットの情報や図面が不完全であること」は、あなたにとっての参入障壁ではなく「参入障壁による守り」であるということです。
- 図面に内階段があっても、それを「収納に潰せる」と想像できれば、それはお宝に変わる。
- 現場での違和感(図面との乖離)こそが、価格交渉や独占購入の切り札になる。
多くの人が「新築の綺麗なカタログ」に夢を見ている間に、あなたは不親切な図面の裏側にある「構造の強み」を見抜いてください。内階段が収納に変わっているだけで、リフォーム費用は数百万円浮き、入居者とのプライバシー問題は一気に解決します。
「図面通りではない=手間がかかる」と切り捨てるのではなく、「すでに最適化されている」可能性を疑うこと。これこそが、中古二世帯住宅の極意です。
3. お宝物件を見つけるための「3つの検索条件」
では、具体的にどうやって物件を探せばいいのか。ポータルサイト(SUUMOやLIFULL HOME’Sなど)で探す際のコツになります。
「賃貸併用住宅」で検索しない
このワードで検索すると、業者が作った高額な新築物件や、投資家向けの高利回り物件(住宅ローン不可)ばかりが出てきます。
キーワードは「二世帯住宅」と「完全分離」
「二世帯住宅」というワードで探し、その中から「外階段」「玄関別」の物件をピックアップしてください。売り主(個人)が「子供が独立して2階が余ったから売りたい」と考えているような物件こそ、最高のお宝です。
「駐車場」の数を確認する
賃貸に出す際、駐車場があるかどうかで客付けの難易度が劇的に変わります。自分たちの分と入居者の分、最低でも2〜3台分のスペースがある物件を選んでください。
4. 失敗しないための「心理的ハードル」の超え方
「他人が同じ屋根の下に住むのは怖い、気を使うのでは?」という不安は、誰しもが抱くものです。しかし、これを解消するのが「設計」と「割り切り」です。
- 設計で解決: 外階段にし、内階段を完全に塞ぐ(壁にする)。これで音の問題とプライバシーは8割が解決します。
- 割り切り: 「隣人はお客様ではなく、自分のローンを助けてくれるパートナー」と考える。
- 管理のプロを頼る: 入居者対応や家賃の徴収は、月々数千円で管理会社に委託することもできます。自分で直接やり取りする必要はありません。
家族の要望を「設計」で解決する
私一人の独断ではなく、家族の考えを一致させることも不可欠でした。私の場合は妻が元々「平屋のような暮らしが良い」という希望を持っていました。
2階建ての完全分離物件を「賃貸併用」として活用し、2階を貸し出す。そうすることで、自分たちは1階だけで生活が完結する「擬似的な平屋生活」を送ることができます。私の「固定費を下げて投資へ回したい」という考えと、妻の「平屋が良い」という要望が、この物件によって完璧にマッチしたのです。
5.家を「稼ぐインフラ」として再構築
賃貸併用住宅は、決してギャンブルではありません。日本の住宅ローン制度という「ゆがみ」を、合法的に資産形成のテコ(レバレッジ)として利用する、極めて知的な戦略です。
- 住宅ローンの「50%ルール」を死守し、低金利を味方につける。
- 「中古の二世帯住宅」というパッケージをリノベして活用する。
- 浮いた固定費をインデックス投資へ流し込み、資産を複利で育てる。
このステップを踏めば、住宅はあなたの自由を奪う「巨大な消費」から、あなたの自由を作る「最強のブースター」へと変わります。
「新築ローンが辛い」と感じるなら、それはあなたの直感が「別の道」を求めているサインです。世間の「当たり前」という呪縛を解き、自分と家族のための「稼ぐインフラ」を設計しましょう。
具体的なリフォームのコストダウン術や、銀行審査の通し方については、別の記事で深堀してきます。


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